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インタビュー

ナガオカケンメイ
インタビュー Vol.1
ナガオカケンメイ
1965年北海道生まれ、名古屋育ち
デザイン活動家
D&DEPARTMENT PROJECT代表取締役会長
「ロングライフデザイン」をテーマに八面六臂の活躍をされているナガオカケンメイさんに、ご自身のバックグラウンドと、都会と地方のクリエイティブについてお話をうかがいました。
Q: ナガオカさんにとっての“ふるさと”とは?
A: 生まれは北海道の室蘭ですが、3歳のときに知多半島の半田という街へ転居しました。ですから、“ふるさと”という言葉で思い浮かべるのは、高校まで過ごした半田、その街並ですね。造り酒屋が何軒かあって、酒蔵がある街並です。それから紡績の街でもあったので、黒塗りの背の高い木造の建物に織機が並んでいる。そういうイメージがとても印象に残っています。今はもう実家もありませんが、毎年年始には必ずこの街の神社に通っています。
Q: デザインする側から「ロングライフデザン活動家」というデザインをプロデュースする側へ活動の場を変えられたきっかけは何だったのでしょうか?
A: 20年くらい前のことですが、デザイナーが地方の伝統工芸を著しく混乱させた時代がありました。当時多くのデザイナーが、地域のことなどほとんど考えずに、作りたいものを作っていた。そういうことがあって、デザインの意味とかデザイナーの姿勢を正していかないと、次世代のデザイナーの将来はないなと思ったのがきっかけです。そのとき思ったのは、日本の地方のあり方をちゃんと理解し、整理したうえで、どうすればプロとしてデザイナーが活躍できるかを考える、その順序でやらないとだめだということです。もちろん、昔から変わらず素晴らしいデザインもあって、闇雲にデザインを生み出す必要もありません。それから、デザインを生み出すためには、ちゃんとその土壌を改良しないといけない。そういう風に考えると、これってもうデザイナーじゃないなと。また、デザイナーと名乗ると「代表作は何ですか?」と必ず聞かれる。それも面倒だったので「ロングライフデザイン活動家」としたわけです。ただ、あと何年かしたらデザイナーに戻ろうとも考えています。
Q: 都市の若者が地方へ行って交流し、何かが生まれたという成功事例のようなものがあれば教えてください。
A: 具体例は別にして、東京でデザイナーをやっている方が地方へ行くと、東京のほうが格上だと錯覚しがちなのですが、実は全く逆で、地方のデザイナーのほうがよほど創造力豊かだしオリジナリティがある。情報量が少ないというところからくる、鎖国していた日本みたいな状態で、その土地の生態系の中でクリエイションしているので、発想がすごく豊か。東京は、何が今一番流行りか、そういうことを考えているのに対して、地方はその土地の風土の中でデザインしている。10〜15年前くらいまでは、東京からデザイナーが来ると「先生」と呼ばれていましたが、今はもうそういうのはないですね。どっちが変わったかというと、東京のクリエイターが変わったのだと思います。日本のデザインのルーツというか、原風景は、東京にはない。だから逆に東京をどう利用してもらうかという、僕らより若い東京のデザイナーというのは、そういう発想ですね。さらに、最近は東京から地方に移り住んでいる人がたくさんいる。私も現在、東京の大学(武蔵野美術大学)で教えているのですが、卒業したら田舎に帰ってデザインするという人が増えています。
Q: 東京と地方、それぞれのメリット、デメリットとは?
A: 昨年亡くなったヨーガン・レールさんは、東京のど真ん中にスタジオをもちながら、石垣島にもアトリエをもって、往復しながら服のブランドを作っていらっしゃった。そこから生まれた服の色使いとか形とかは、情報の氾濫する東京だけでは作れないないものだったと思います。東京にいると、そぎ落とせなくなってくるんです。武装しないと生きていけないし、業界に背を向けることもできない。でも地方にいると、余計なところで勝負しない。例えば、東京で人より目立とうと思うと、意外とブランドで身を固めたりしないと武装できない。ところが、田舎にいくとそんなもの何の役にも立たない。そういうとき、その人が何で勝負しているかが分かってしまう。地方のクリエイターと接すると、自分の実力で勝負するしかないことが嫌というほど分かるのです。
Q: ナガオカさんの旅のスタイルを教えてください。
A: 僕の旅行は、何カ所かを巡るという旅ではなくて、目的地は1カ所だけ。いろんなところを巡るのは年齢的に疲れるということもありますが、やはり一カ所に絞ってそこでじっくり一日過ごす。それがお蕎麦屋さんだろうが図書館だろうが、そういう旅の仕方をします。今一番行きたいところは、石垣島。もう一度行ってみたいですね。それから、雪のない期間だけ営業しているというお蕎麦屋さんが長野にあるのですが、そういうところにも是非行ってみたいと思っています。